男女4人の飲み会

「え!?琴美もう帰るの??」

 

 

わたしとユリカちゃん、永倉、佐伯涼がデスクから立ち上がった定時の17時30分。

 

 

同じ社内にいる加奈子が寂しそうにそう言った。

 

 

 

 

「ごめん、加奈子?。今日はもう帰るね!なんて言ったって、こいつが今日はおごってくれるらしいからさっ」

 

 

 

永倉の肩に手をかけて笑う私。

 

永倉は暗い表情をしている。

 

 

 

加奈子は「いいな?」と羨ましそうに言った。

 

加奈子の仕事はまだ終わりそうにないということで、オフィスで別れた。

 

 

 

 

会社は今日、全体が定時で帰宅する日ということもあり、他の部署からも帰宅の人がワラワラと出てきた。

 

 

 

エレベーターは激混み!!

 

 

 

「ユ…ユリカちゃん狭くない?大丈夫?!」

 

 

狭いエレベーターの中、永倉がユリカちゃんを気遣う。

 

 

おい、私にも聞けよ。

 

 

 

 

「石原さんは、大丈夫?」

 

 

佐伯涼があたしの頭よりも20センチくらい上から、私に声をかける。

 

 

一応、気遣ってくれたようで、なんだか照れくさい。

 

 

こんな私に…。

 

 

「大丈夫、ありがとう」

 

 

4人で歩いて、ちょっと洒落た和民家っぽいカフェに到着。

 

 

店内は暗く、バラード系のオルゴールが聴こえてくる。

 

 

 

「わぁ!かわいいお店ですねっ」

 

 

「ほんと…永倉にしてはなかなかじゃん」

 

 

「まーなー!女の子が好きそうな店といえば、俺の得意分野よ」

 

 

 

ようするにいつもこうして女の子を連れてきてるってことね。

 

 

 

「すごい、嫌な得意分野…」

 

 

佐伯涼も続いて呆れた表情。

 

 

 

その返しがけっこうツボで笑えた。

 

 

佐伯涼も、なかなか言う奴なのね。

 

 

 

 

 

私たち4人は、案内された席についた。

 

 

金曜の夜だというのに、わりと混んでいる様子もなく、ほどよく静かだった。

 

 

本当、素敵なお店…。

 

 

 

「えーっと、じゃあ俺は生ビール!佐伯は?」

 

 

「俺も生中でいいよ」

 

 

 

「へ?なんだか意外ですっ。佐伯さんて、あんまりビールとか飲まないイメージがありましたっ」

 

 

ユリカちゃんが正面に座る二人に、両手を合わせて可愛く話かける。

 

 

そうか?

 

 

佐伯涼だって、ビールくらい飲むでしょう。

 

 

そう言われた佐伯涼は、柔らかく笑った。

 

 

 

 

「そ、そう?俺も普通に飲むよ?」

 

 

「へーえ。新たな発見です?」
お酒がきて、4人で乾杯。

 

 

「はい、じゃあ俺とユリカちゃんのデート記念に乾杯!」

 

 

「デートじゃないっつーの!私と佐伯涼もいること忘れないでよ」

 

 

「あらお前いたの!?」

 

 

 

本当に、わざとらしい、憎たらしい。

 

 

永倉の乾杯の音頭にいらっとしつつ、私もグラスに口をつけた。

 

 

 

 

「へ?。またまた意外です!」

 

 

「ん?」

 

 

隣に座るユリカちゃんが私を見つめる。

 

 

 

「石原先輩って、カクテル派なんですねぇ!」

 

 

「なにさ、ビールとか、焼酎とかだと思った?」

 

 

誰がおっさん女子だ。

 

 

「いえいえっ、そーいうわけじゃなくてっ」

 

 

 

 

焦るユリカちゃん。

 

自分は、「私に似合うカクテルはこれ」みたいなかんじで、ちゃっかりカシスオレンジとか飲んじゃってさ…。

 

 

 

私だってお酒はカクテルがすきなんだよ?

 

 

苛立ちながらも、一気にピーチジンジャーを飲み干す。

 

 

 

「おおっ!飲み物は女子でも、飲みっぷりはやっぱり男前っ」

 

 

永倉が憎たらしい言葉を続ける。

 

 

それを黙って苦笑いをする佐伯涼。

 

 

 

じつは、私ってそんなにお酒強くないんだけどね。

 

カクテルでもたぶん3杯が限界だよ…?