ギャップ

ー佐伯涼sideー

 

 

 

 

俺は昔から、

 

「ガツガツしてない」とか、

 

「肉食系よりは草食タイプ」

 

と恋愛に関することは、人からそう言われることが多かった。

 

 

 

 

自分では全然そんなつもりはない。

 

 

正直学生時代からモテるほうだった。

 

自分からアプローチしなくても女の人が寄ってきたというのもデカイと思う。

 

 

 

だけど…。

 

いつまでも、草食系って言われているのも…

 

男としてどうなんだ?
27歳。

 

周りはわりとまだ独身も多くて、ちらほら結婚した奴がいるかな…っていうくらい。

 

 

女子はわりと結婚が早いけど、男はそこまで結婚に焦りはない。

 

 

だから、俺も今は彼女がいないけど、とくに焦ってもないし、彼女も欲しいわけではない。

 

 

 

 

そんなことより、今は趣味とか、1人の時間が楽しい。

 

 

 

「く?っ!やっぱうちの部署だと、ユリカちゃんがダントツで可愛いな!」

 

 

隣で、ビールをぐいっと飲んで、また女の子の話をしている同期の永倉。

 

 

永倉とは部署も同じで、デスクも隣同士でわりとよく話す相手。

 

 

 

永倉は、俺とは対照的で、いつも女の子を追いかけ回している。

 

 

 

 

「おい、佐伯、きいてんのか?!お前はどう思う?やっぱユリカちゃんだよな?」

 

 

「あー…」

 

 

正直、部署で誰が可愛いとか、俺にはどうでもいいかもしれない。

 

 

「俺は…そうだな…。別にタイプではないかな」

 

 

「は!?お前、正気か!?ユリカちゃんが可愛くなくて、じゃあ誰が可愛いっていうんだよー!」

 

 

酔いがまわっていることもあり、いつもより声がでかくて、オーバーリアクションな永倉。

 

 

つ…疲れる…。

 

誰か、こいつを連れ帰ってくれ。

 

 

 

って願っても今日は、俺と永倉の2人だから絶対無理だけど。
面倒くさいから早く潰して帰ろう。

 

 

「そうだな、俺は強いて言えば、年下はちょっと苦手かな」

 

 

これは本当だった。

 

 

年下の女の子ってどうしても「年上に頼りたい!」「甘えたい!」という雰囲気がにじみ出ていて、それがプレッシャーでもあるし、重たくもある。

 

 

だから、強いて言うならば……。

 

 

 

「年上も疲れそうだし、やっぱり同学年が一番いいよ」

 

 

レモン酎ハイを俺は一口飲んで、俺はそう言って永倉のほうを見た。

 

 

 

すると、永倉は口をあけたままフルフルと瞳を震わせ、俺の方に手をおいた。

 

 

 

こういうとき、カウンターの席って隣同士が近くて嫌だなと感じる。

 

よりにも男同士…。

 

 

 

「同学年の部署にいる女…お前、もしかして石原琴美狙いか?」

 

 

石原?

 

 

あ…石原さんね。

 

 

 

同じ部署にいる、石原さんを思い返す。

 

 

 

別に、彼女だけが同学年ってわけじゃないと思うんだけど…。

 

他にも数名いるだろうが。

 

なんで限定なんだ…。

 

 

 

でも…?

 

 

 

「そうだな…。嫌いじゃないかも?」

 

 

思い返すと、石原さんてなかなか可愛い子だと思った。

 

 

後輩のユリカちゃんほどの、派手な美人ではないけど。

 

 

石原さんは、色白で丸顔、そして眠たそうな目をしている。

 

 

普段性格がどちらかといえばサッパリとしているので、そのギャップはけっこう良いものだ。

 

 

 

俺がそう言うと、永倉はまたしてもオーバーなリアクション。

 

 

「うそだろー!?俺、あんな怖い女は絶対やだ!あいつなんて女じゃねーよー!」